温泉博物館 名誉館長の 温泉ブログ

  温泉の科学や温泉現象について、わかりやすく解説します

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

伊吹山 「積雪記録世界一の山」

岐阜県と滋賀県の県境にある伊吹山は、標高1,377mの山で、深田久弥の日本百名山にも選ばれています。ヤマトタケルノミコトの伝説をはじめとした故事来歴、薬草や稀少生物、さざれ石や山の特異な形成史など、伊吹山の魅力は尽きません。 滋賀県側から見た伊吹…

温泉分析書の「電気伝導率」とはどんな単位?

電気伝導率(mS/m )とは 温泉分析書の上の方のpHなどが記載されているあたりに電気伝導率という項目が位置づけられている場合があります。 「電気伝導率」が記載された温泉分析書 電気伝導率の単位「mS/m」は、「ミリ ジーメンス マイ メートル」と読みます…

遠くの山が白く見えるのは何故

雨が降らない日が続くと、遠くの景色が白っぽく「もや」がかかったようになります。特に山の景色を見ると、遠くの山ほど白く見えます。 蔵王から見た遠くの山の景色 遠くの山ほど白っぽく見える 空気中には、水蒸気や、PM2.5、塵(ちり)、黄砂などの小さな…

温泉現象 「噴気塔」

富山県立山地獄谷には、熱水変質帯の灰色の地肌をむき出しにした噴気地帯が広範囲に広がっています。その中の「鍛冶屋地獄」と呼ばれる谷 底にある噴気地帯には、硫化水素や二酸化硫黄(亜硫酸ガス)が噴出する噴気孔が至る所に見られ、噴気孔の周りに火山ガ…

温泉博物学 「温泉細工」

温泉スケールを逆手に取って生まれた「温泉細工」 温泉地に行ってお土産を探すのも楽しみの一つです。特にその土地ならではのお土産に出会えればうれしくなります。 炭酸カルシウムでコーティングされてできた土産用「温泉細工」 上の写真は、またまた下呂発…

温泉に関わる国の天然記念物

「天然記念物」および「特別天然記念物」 わが国では、文化財保護法にもとづいて、「学術上貴重で日本の自然を記念する動物,植物、地質鉱物および天然保護区域」を天然記念物に指定しています。さらに、その中で「世界的にまたは国家的に価値が高いもの」を…

温泉現象 「泡沸泉」

沸騰した熱い温泉かと思いきや‥‥ 長崎県雲仙岳の麓の海岸沿いには、熱い源泉で知られる小浜温泉があります。源泉温度をいろいろな温泉分析書で確認してみると、何といずれも100℃前後でした。 そんな小浜温泉街の一角に「炭酸泉」という看板があり、ポケット…

温泉現象 「間欠泉」

間欠泉とは 噴泉のうち、ある一定の時間間隔をおいて湧き出す温泉現象を間欠泉と言います。間欠泉はさらに、地下の空間内の水蒸気圧によって噴出する間欠沸騰泉と、地下の空間内の炭酸ガス圧によって噴出する間欠泡沸泉とに分類されます。 木部谷間欠泉(島…

温泉現象 「噴泉」

温泉が自然に湧き出す時の「湧き出し方」にもさまざまな形態があります。熱湯と水蒸気が一緒になって噴水のように勢いよく噴出し続ける温泉現象を噴泉(ふんせん)と言います。地下に高温の水蒸気を含む熱湯が存在し、温泉の湧き出し口の穴(孔隙)が小さいと…

温泉にメントスを入れると

小学生が実験をしました コーラにメントスを入れると、コーラに包まれた泡が噴き出すという実験は有名ですね。 コーラにメントスを入れた時の様子 炭酸水や炭酸飲料の中には二酸化炭素(炭酸ガス)が、「CO2 」という分子の状態で水の分子の隙間に入り込んで…

温泉博物学 「硫黄系の液体入浴剤」

温泉と薬機法(やっきほう) 以前は「薬事法」と言っていた法律が、2014年に「薬機法」に改正されました。正確には、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と言います。 温泉は薬物ではないので効能が言えない 温泉は、薬物で…

温泉現象 温泉がつくる「地獄」「地獄谷」

「地獄」は温泉天国です 火山活動が活発な所では、岩肌がむき出しになった荒涼とした大地の至る所から火山ガスを噴き上げ、温泉がボコボコと湧き出すような風景を目にすることがあります。 雲仙「地獄」 玉川温泉「地獄」 そのような一帯は、地熱や、様々な…

温泉博物学 「こつぼ洗い器」って、何?

こつぼ洗い器 何年も前のことです。伊香保温泉の観光案内所に併設されていた「伊香保歴史資料室」というちょっとした展示スペースに、写真のような珍しいものが展示されていました。私は初めてこのような資料を見ましたが、皆さんは、これが何だかおわかりで…

温泉博物学 「飲泉カップ」

飲泉許可が下りている温泉を飲むことにより、薬を飲むのと同じような薬理効果を得られる場合があります。 飲泉は特に東ヨーロッパで古くから盛んに行われていました。 飲泉の際に使われるのが、専用の「飲泉カップ」です。 下呂発温泉博物館に展示されている…