温泉博物館 名誉館長の 温泉ブログ

  温泉の科学や温泉現象について、わかりやすく解説します

北海道美瑛「白金青い池」のこと

北海道美瑛の「白金青い池」が気になっていたので、行ってきました。

「青い池」の景勝地としては、福島県の「五色沼」がよく知られていますが、最近は北海道の観光地として「白金青い池」が大人気のようです。現に私が訪れた日も、平日にもかかわらず国内外から訪れる大勢の観光客でにぎわっていました。

北海道美瑛「白金青い池」

白金青い池の誕生

白金青い池は、実は自然の池ではなく、今まさに火山活動が活発化している十勝岳の砂防事業によってつくられた砂防が、川をせき止めてできた「人工の池」です。

十勝川方面から流れてくる酸性の硫黄沢川や尻無川と、中性の美瑛川が合流して水が混じると、ターコイズブルーのような青色に変化するといいます。そういった、合流して青く見えるようになった川を砂防でせき止めてできた池です。

含有成分の異なる水が混じり合うことでイオンバランスが崩れて反応が起き、その結果、微細な成分が析出して呈色するのではないかと思われます。よく温泉水が海中に流れ込む場所で濁り出す変化と同じです。

「美瑛白金青い池」が青くなる原因

青くなる原因は、これまでは「水酸化アルミニウム」などのコロイド粒子による光の散乱が原因と説明されているものを見かけましたが、福島大学の高見慶隆氏などの研究「湖面の青色色彩に関する五色沼と北海道美瑛町青い池の化学的類似性と相違性」によると、青色の原因となるのは「ケイ酸アルミニウム」のコロイド粒子であることが結論づけられています。

すなわち、美瑛町の「白金青い池」は、三つの河川が合流することによって生成されたケイ酸アルミニウムのコロイド粒子に太陽光の青色の波長の光がレイリー散乱することによって生じると考えられそうです。

「レイリー散乱」とは、太陽光を形成しているさまざまな大きさの波長の光のうち、波長の小さい青色の光だけが小さな粒子の存在によって散乱する現象で、私たちの目の中に「青い光」が飛び込んで来るので青く見えます。空が青いのもレイリー散乱によるものです。青色の光が空気の分子などによって散乱するためです。

レイリー散乱によって青く見える空

「福島県五色沼の青い沼」が青くなる原因

福島県の裏磐梯にある五色沼も青い色の沼がとてもきれいです。私は大好きで、ブログのトップページの写真使用しています。この五色沼についても、同じく高見氏たちの研究によると、福島県の五色沼が青く見える原因についても、これまで考えられていたようにケイ酸アルミニウムのコロイド粒子による光のレイリー散乱が原因であると結論付けられています。

福島県「五色沼」

「青さ」は光の加減で変わります!

私が白金青い池を訪れた日は、あいにくの雨でした(一番上の写真)。いっぱいの太陽光が降り注がないため、青色の波長の光も弱く、レイリー散乱量も少なく、その結果、残念ながら期待していたほどの青さが見られませんでした‥‥。残念!

 

秋の奥飛騨「中尾温泉」の温泉講座のご案内です

今年もまた、奥飛騨温泉郷で温泉講座をさせていただくことになりました。主催は中部山岳国立公園奥飛騨ビジターセンターです。

チラシのQRコードより申し込みできます

岐阜県の新穂高温泉中尾(旧 中尾温泉)は、新穂高温泉の中の「高原エリア」に位置し、活火山焼岳の登山口でもあります。白樺の木立が立ち並ぶさわやかな高原の温泉地で、北アルプの山々の雄姿を間近に眺めることができます。奥飛騨温泉郷の他の温泉地とは異なり、ペンションも多く、おしゃれな感じです(ちょっと盛りを過ぎた感じもあるかな)。

新穂高温泉中尾エリア(中尾温泉)入り口のランドマーク

有名な露天風呂「新穂高の湯」のある場所が中尾温泉の入り口にあたり、「ゆ」と書かれた大きな暖簾があたたかく迎えてくれます。この暖簾を初めて見たのはもう何十年も前のこと。インパクトが大きく、惹かれるものがありました。今ではすっかり中尾温泉の顔です。

中尾温泉の静かな温泉街

大暖簾を過ぎて温泉街に入ると、ペンションや旅館がたち並び、さらに進むと岐阜高校の林間学舎が現れます。「岐阜高校はいいなあ」と県内他校出身の私は嫉妬してしまいます。

岐阜高校の林間学舎

その辺りから、至る所に白い蒸気を吹き上げる泉源を目にします。まわりに立ち込める硫化水素の香りがたまりません。さらに奥へ進むと、京都大学防災研究所穂高砂防観測所や、焼岳登山者用駐車場があり、その奥には結構大きな中尾地熱発電所があり、驚きます。温泉地とうまく共存している例として注目されています。

中尾地熱発電所

中尾地熱発電所

そして、焼岳の岐阜県側登山道や、焼岳の地獄地帯へと続く沢に向かいます。

旅館やベンションの温泉に浸かると、どこもほのかな硫化水素の香りがあり、白い大きな硫黄の湯の華がたくさん舞っていました。中尾温泉の「温泉環境」は抜群です。

温泉色の濃い、大好きな温泉地です。

 

温泉講座が開催される10月18日は、奥飛騨温泉郷の秋真っ盛りです。紅葉を楽しみながら素敵な中尾温泉に一日どっぷりと浸かってみてはいかがでしょうか。

 

 

頑張れ!岐阜県郡上市の新星「子宝温泉」

新しく再開した「子宝温泉 円空(えんく)の湯」

「駅と直結した温泉」として2002年に開業した岐阜県郡上市美並町の「日本まん真ん中温泉 子宝の湯」が、コロナ禍や燃料費の高騰が影響して2024年9月に惜しまれつつ閉業しましたが、昨年12月、地元の経営者らが出資し、「子宝温泉 円空(えんく)の湯」として新しく再開しました!

駅と直結した温泉施設「子宝温泉」

子宝温泉円空の湯

岐阜県内でも閉館に追い込まれた温泉施設がたくさんありますが、地域の温泉を守っていただいたことに、ただただ感謝するばかりです。微力ながら、利用することによって協力できればと思います。

日本の人口重心にあった温泉

以前の「日本まん真ん中温泉 子宝の湯」は、「にっぽんまんまんなかおんせん こだからのゆ」と読みました。「日本まん真ん中」というのは、当時、日本の人口重心がここ旧郡上郡美並村にあったことによります。「子宝の湯」の由来は、近くに子安神社という由緒ある神社があることによります。長い名称ですが、双方をPRしたかった訳ですね。

ちなみに、日本の人口重心とは、イメージ的には、「日本中の土地に人口を均一にばらした時に、全体の重さのバランスが取れる地点」のことです。もちろん全員が同じ体重であると仮定します。人口重心は国勢調査をする度に移動していて、現在は岐阜県七宗町か川辺町辺りではないかと推測されます。

総務省報道資料「我が国の人口重心」から引用した人口重心の推移の資料を添付します。

総務省報道資料「我が国の人口重心」より引用

総務省報道資料「我が国の人口重心」より引用


名称も 「子宝温泉 円空の湯」に

そして新しい名称「子宝温泉 円空(えんく)の湯」は、今ではここ郡上市美並が人口重心ではなくなったこともあり、子宝を残して、「円空」に大変ゆかりのある地であることから円空をとり入れたようですね。郡上市美並町には円空の作品が数多く存在しているとのことです。

新星「円空の湯」は、新しい感覚を随所に取り入れ、敷地内にビアガーデンなどもオープンしたと報道されていました。皆さんに末永く愛される温泉になるよう、心から期待しています。

  

クマから温泉街を守る?平瀬温泉

岐阜県白川村「平瀬温泉」

観光客で大賑わいしている世界遺産の「白川村合掌集落」から国道156号を10km程南下した所に平瀬温泉があります。合掌集落とはあまりにも対照的で、こちらは道沿いに小さな旅館が点在するものの、「ひっそり」とした素朴な温泉地です。なんかいい感じです。 

平瀬温泉街のようす

対岸より平瀬温泉街を望む

かつて、霊峰白山の登山口となっている「大白川」に温泉があったのですが、大白川ダムの建設によりダム湖の底に沈んでしまいました。そのため、昭和41年に、ダムの上流の地獄谷を掘削し、温泉を掘り当てました。それを平瀬地区まで引湯して「平瀬温泉」が誕生しました。しかし、地獄谷の泉源も土砂災害により不能となり、今度は大白川ダムの岸辺に新たな泉源を掘削し、現在に至っています。平瀬温泉は大白川から温泉をパイプで14km引湯して使用しています。 険しい山間部から14kmにわたってパイプをつないで引いてくる大事業、さぞかし大変だったことと察します。                       

大白川と平瀬温泉街の位置関係

白水湖沿岸の現在の泉源

現在の平瀬温泉の泉源(大白川源泉2号泉・3号泉)は、高温の温泉水と高温の蒸気を湧出しているため、蒸気の方も冷却して温泉に造成して、併せて使用しています。泉温は93.2℃と87.0℃で、泉質は共に「含硫黄―ナトリウム―塩化物泉」です。 平瀬温泉はこの2つの混合泉を使用しています。        

大白川温泉泉源の温泉造成施設

大白川から平瀬地区まで温泉を14km引湯すると、大白川温泉の「硫黄泉」を規定するメインの「硫化水素イオン」が途中で硫黄華として析出したり、「遊離硫化水素」が抜けてしまったりします。その結果、平瀬温泉に到達する頃には、「総硫黄」の値が低くなり、「含硫黄泉」ではなくなって「ナトリウム―塩化物泉」に変化しています。温度も15℃程下がって66℃ぐらいになっています。とは言え、14kmも移動して15℃程度しか温度が下がらない技術というのもすごいなあと思ってしまいます。                                   

「熊ソニック」を見つけました!                           

8月3日に、白川村平瀬温泉へ温泉関係の写真撮影に行きました。対岸から平瀬温泉街の写真を撮っていたら、目の前にへんてこな装置(失礼)があるのを見つけました

装置の下に説明がありました。「クマよけの装置」とのことで、スピーカーからクマが嫌がる高周波の音を出し、クマが集落の中へ入って来ないようにするそうです。この装置には「熊ソニック」という名前までついています。200mの範囲まで有効だそうです。  

白川村内には10基が設置されているそうですが、私はそのうちの3基を見ました。一基あたり30万円~40万円ぐらいするそうです。                   温泉街が守られていますね!                           

ワンタッチ消音「クマよけ鈴」

ちなみに、山に入ることが多い私も、お気に入りの「クマよけの鈴」をもっています。こういった鈴は、リュックに付けていると「チリンチリン」鳴りっぱなしでやかましいのですが、私のものは外側のプラスチックカバーを下に引くだけで、鳴らないようにすることができます(ワンタッチ消音)。しかも、とってもいい音が長く響きます。

わが国初の化学/温泉分析の本『舎密開宗』

宇田川榕庵著『舎密開宗』

江戸時代の後期に大垣藩(現岐阜県大垣市)の藩医の長男として生まれた宇田川榕庵(うだがわ ようあん)が著した『舎密開宗(せいみかいそう)』は、わが国初の「化学を体系的まとめた本」として知られています。

この『舎密開宗』は、イギリスの化学者であるW・ヘンリーの『化学入門』の翻訳書なのですが、もともとの英語版がドイツ語版に翻訳され、さらにオランダ語版に翻訳されたものを、榕庵が日本語に翻訳したものです。と言っても、純粋な翻訳だけでなく、様々な書物を参考にしながら自分の実験や考察なども書き加えられています。

下呂発温泉博物館に展示されている『舎密開宗』

 『舎密開宗』の「舎密(せいみ)」は、オランダ語のchemie(化学の意味)に「せいみ」という読み方をあてがったものです。「開宗」は、広辞苑で調べてみたら載っていませんでしたが、AIに聞いたら「開いてはじめること」というニュアンスであるとのことでした。

現在、私たちが使っている「元素」「水素」「酸素」「窒素」「硫酸」「物質」「酸化」「分析」などの言葉は、この本を著すにあたって榕庵が考えた(定義した)ものだそうです。すごいですね。

さらにすごいのは、宇田川榕庵は、わが国で初めて本格的な「温泉分析」を行った人で、『舎密開宗』の外篇(巻1)には鉱泉の分類や分析方法などが記されているのです。

以下に、『温泉科学』48巻に掲載された相川(1998)の中から「温泉分析の歴史」の部分を引用しました。

『温泉科学』48巻より引用

今回ご紹介しました『舎密開宗』は、下呂発温泉博物館に展示してあります。ぜひご覧ください。

下呂発温泉博物館の展示解説

 

これが特別天然記念物の「北投石」です!

私が岐阜県博物館の地質担当学芸員として『温泉展』を担当していた頃、「この北投石(ほくとうせき)は本物で間違いないですか」という問い合わせを何度か受けたことがあります。答えは、すべて「No」でした。ひどいものになると、玉川温泉周辺に分布する安山岩が風化した「石ころ」もありました。

私からして信じられないような高額で買われたようで、みなさん落胆されたていました。「がんに効く石」として書籍やマスコミ等で紹介されたこともあってか、がん湯治の「メッカ」とも言える秋田県玉川温泉で産出する鉱物を、藁をもすがる思いで求められたに違いありません。

玉川温泉産「北投石」。前面はカット、研磨済。(筆者撮影)

北投石(Hokutolite)は、鉛と微量の放射性物質であるラジウムを含む重晶石(じゅうしょうせき)の一種で、台湾の北投(ぺいとう)温泉と、秋田県の玉川温泉のみにおいて産出する稀少な放射性鉱物です。要するに温泉沈殿物によって生成された鉱物で、現在は国の特別天然記念物に指定されています。 ちなみに重晶石の成分は「硫酸バリウム」で、胃のレントゲンの時に飲まされるあの「バリウム」の正体です。

特別天然記念物「北投石産地」の碑

玉川温泉「自然研究路」にある北投石の説明看板

博物館等に展示されている北投石の説明書きに「渋黒温泉産」と記載されていることがありますが、これは、玉川温泉がかつては「渋黒(しぶくろ)温泉」と呼ばれていたためです。

微量のラジウムを含む温泉が湧く玉川温泉大噴泉源

わが国最大の泉源である玉川温泉「大噴(おおぶき)泉源」から湧出する温泉水には、微量のラジウムが含まれており、湧出後にラジウムの溶解度が下がると、少し下流の温泉水中の石の表面などに微量のラジウムが沈殿し、硫酸塩に取り込まれて北投石が石の表面などに生成されます。飛沫として飛び散ったものから生成されることもあるそうです。

大噴泉源から流れる「湯川」で北投石が生成される

一番上の写真を見ていただくとお分かりのように、北投石は白色の層と褐色の層が縞を成すような構造をしており、表層部に自形の結晶が見られることがあります。褐色の原因としては、鉄含有量との関係ではなく、鉛の含有量との関係に相関があると考えられているようです。

研究用に生成された玉川温泉産「北投石」(筆者撮影)

研究用に生成された玉川温泉産「北投石」(筆者撮影)

上の写真の、角ばった石の表面の北投石は、研究のために玉川温泉湯川で生成させたものです。長年にわたって玉川温泉において北投石の研究を行ってこられた佐々木信行博士に提供していただいたものです。

台湾「北投温泉」産の北投石(筆者撮影)

上の写真は、台湾の北投温泉産の北投石です。これらの北投石は、私どもの下呂発温泉博物館に展示させていただいております。

下呂発温泉博物館の「北投石」の展示

繰り返しますが、「北投石」は稀少な温泉鉱物であり、国の特別天然記念物です。残念なことに、特別天然記念物に指定された後も盗掘が後を絶たなかった歴史があります。また、本物かどうかはさておき、今でもネット等で売買がなされています。テレビの『なんでも鑑定団』で鑑定されている場面も観ました。わが国のかけがえのない自然の宝物を大切に守っていきたいと願ってやみません。

 

書籍に見る岐阜県の温泉地の変遷

私の部屋の本棚の片隅にあった『岐阜県の名湯・秘湯』という本を、改めて手に取ってみました。今から36年前の1990年に、朝日新聞岐阜支局の記者らによって執筆され、地元岐阜市の「郷土出版社」から出版された温泉地紹介の本です。

朝日新聞岐阜支局編『岐阜県の名湯・秘湯』

1990年といえば、テレビで「ちびまる子ちゃん」の放送が始まった年で、秋篠宮家が誕生した年でもあります。海外では、「ベルリンの壁」の崩壊を受けて東西ドイツが統一しています。

そんな頃の岐阜県にあった温泉地について綴られています。現在の温泉地と比較してみました。

この本には、岐阜県の温泉地として、以下の56ケ所の温泉地が記載されています。

・長良川温泉   (岐阜市)

・三田洞神仏温泉 (岐阜市)

・羽島温泉    (羽島市)

・海津温泉    (海津市)

・湯の洞温泉   (美濃市)

・初音温泉    (郡上市八幡町)✖

・高畑温泉    (郡上市八幡町)

・土京温泉    (郡上市和良町)✖

・白川温泉    (白川町)✖

・越原温泉    (東白川村)✖

・山神温泉    (土岐市下石町)✖

・だち温泉    (土岐市駄知町)✖

・柿野温泉    (土岐市鶴里町)

・あけ世温泉   (瑞浪市明世町)✖

・鬼岩温泉    (瑞浪市/御嵩町)

・稲荷温泉    (瑞浪市稲津町)

・釜戸温泉    (瑞浪市釜戸町)

・白狐温泉    (瑞浪市釜戸町)

・恵那峡温泉   (恵那市大井町)

・鹿之野湯温泉  (恵那市笠置町)

・山岡滝温泉   (恵那市山岡町)✖

・花白温泉    (恵那市山岡町)

・紅岩温泉    (中津川市蛭川)✖

・岩寿温泉    (中津川市蛭川)

・東山温泉    (中津川市蛭川)

・栗本温泉    (中津川市福岡町)✖

・薬師温泉    (中津川市福岡町)✖

・ローソク温泉  (中津川市高山)

・坂下温泉    (中津川市坂下町)✖

・くつかけの湯  (中津川市坂下町)✖

・夕森温泉    (中津川市川上)✖

・付知温泉    (中津川市付知町)✖ 倉屋温泉ではない

・度合温泉    (中津川市付知町)

・下呂温泉    (下呂市)

・乗政温泉    (下呂市乗政)✖

・萩原温泉    (下呂市萩原町)✖

・下島温泉    (下呂市小坂町)

・湯屋温泉    (下呂市小坂町)

・濁河温泉    (下呂市小坂町)

・秋神温泉    (高山市朝日町)

・塩沢温泉    (高山市高根)

・平瀬温泉    (白川村平瀬)

・福田の湯温泉  (高山市)✖

・たんぼの湯温泉 (飛騨市古川町)

・数河温泉    (飛騨市古川町)✖

・割石温泉    (飛騨市神岡町)

・福地温泉   (高山市奥飛騨温泉郷)

・平湯温泉   (高山市奥飛騨温泉郷)

・新平湯温泉  (高山市奥飛騨温泉郷)

・栃尾温泉   (高山市奥飛騨温泉郷)

・穂高温泉   (高山市奥飛騨温泉郷)

・中尾温泉   (高山市奥飛騨温泉郷)

・槍見温泉   (高山市奥飛騨温泉郷)

・佳留萱温泉  (高山市奥飛騨温泉郷)

・蒲田温泉   (高山市奥飛騨温泉郷)

このうち、穂高温泉、中尾温泉、槍見温泉、蒲田温泉、佳留萱温泉は、現在は新穂高温泉として一括りになっています。

✖印がついた温泉地は現在は存在していない(閉業・休業・温泉未使用含む)温泉地です。

土京温泉「エバーグリーン立石」の跡(Google mapより)

これを見ると、この本で36年前に紹介された56の温泉地のうち、19の温泉地が現在は存在(営業)していません。全体の34%の温泉が消えたことになります。

消えた温泉地について調べてみると、19の温泉地の大部分が一軒宿であり、しかも冷鉱泉です。記載内容からすると、多くが地元の人々の支持を得て、温泉だけでなく地元の「宴会をする場所」でもあったようです。

小規模の一軒宿で冷鉱泉を沸かして営業するには燃料費のコストが大きく、大変であったと思われます。また、この本が出版された翌年には、竹下内閣の「ふるさと創生事業」がスタートし、全国的に自治体による日帰り温泉が雨後の筍のように誕生しました。すなわち、細々と営業してきた民営の冷鉱泉施設は、自治体が運営するきれいで設備の整った日帰り温泉施設に駆逐されていく訳です。

 

さらに今は、自治体の日帰り温泉施設が苦境に立たされています。