雨が降らない日が続くと、遠くの景色が白っぽく「もや」がかかったようになります。特に山の景色を見ると、遠くの山ほど白く見えます。
空気中には、水蒸気や、PM2.5、塵(ちり)、黄砂などの小さな粒子状の物質がたくさん浮遊しています。
太陽光が、空気中のこれらの粒子にぶつかると、すべての波長の光(すべての色の光)が散乱(ミー散乱)を起こすため、見ている私たちの目には白い光(昼間の太陽をまともに見た時と同じ色)となって飛び込んできます。光の散乱については、本ブログの「乳白色の温泉のメカニズム」を参照していただければと思います。
遠くの山ほどより白っぽく見えるのは、距離が長くなるので、空間がぶ厚くなります。すなわち、白い光の層が厚くなるので、より白く見えることになります。
これからの春先の季節は、春霞と呼ばれるように、景色全体が「もや」がかかったように白くなります。これは、山の木々などの植物の蒸散作用が活発になり地上付近の水蒸気量が多くなることや、黄砂やPM2.5などが大陸から飛来するため、太陽光の散乱が激しくなるためだと考えられます。特に黄砂が大量に飛来する日には、黄砂の粒が大きいため、黄土色っぽいもやになります。天気が良くても、世の中がセピア色に色あせたような感じがするので、とっても嫌です。車も汚れるし‥‥。
黄砂の中身は、岩石を組織する石英や長石などの鉱物や、岩石に由来する粘土鉱物などで、大きさは直径が 4μm(マイクロメートル)ぐらいのものが一番多いそうです。1μm は 1mmの1000分の1です。
温泉中にごく普通に含まれるメタ珪酸などのコロイド粒子の一番大きいのが 1μm ぐらいですので、おおよそ似たような大きさです。
黄砂は、大陸のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠からはるばる4000kmもの距離を2、3日かけて飛んでくるそうで、そう聞けばロマンを感じますが、何しろ大気汚染物質をくっつけて飛んでくるからいけません。
大陸の大気が汚染されていなかった頃には、飛んでくる黄砂は日本の国土に降って結構いいミネラルになっていたのかもしれません。