温泉博物館 名誉館長の 温泉ブログ

  温泉の科学や温泉現象について、わかりやすく解説します

温泉現象 「泡沸泉」

沸騰した熱い温泉かと思いきや‥‥

長崎県雲仙岳の麓の海岸沿いには、熱い源泉で知られる小浜温泉があります。源泉温度をいろいろな温泉分析書で確認してみると、何といずれも100℃前後でした。

そんな小浜温泉街の一角に「炭酸泉」という看板があり、ポケットパークのように整備された敷地内に、ボコボコと音を立てながら温泉が湧き出す小さな泉源があります。囲いも何もなく、「外で勝手に湧き出している」という感じです。

長崎県小浜温泉の「炭酸泉」と呼ばれる泡無沸泉

何しろ熱い小浜温泉地内で「ボコボコと音と泡を出しながら湧き出している」ので、沸騰しているのと勘違いしてしまいますが、実際に手を突っ込むと冷んやりとし、全然熱くありません。それもそのはずです。湧き出しているのは26℃ぐらいの二酸化炭素泉で、ボコボコと言う泡の正体は沸騰ではなく、二酸化炭素の泡なのです。このように、多くの二酸化炭素炭酸ガス)の泡とともに湧き出す温泉を泡沸泉(ほうふつせん)といいます。

小浜温泉の「炭酸泉」のある整備された一画

「山の温泉」である雲仙温泉を満喫した後は、「海の温泉」の小浜温泉へ。山と海の温泉を楽しめる贅沢なエリアですね。