間欠泉とは
噴泉のうち、ある一定の時間間隔をおいて湧き出す温泉現象を間欠泉と言います。間欠泉はさらに、地下の空間内の水蒸気圧によって噴出する間欠沸騰泉と、地下の空間内の炭酸ガス圧によって噴出する間欠泡沸泉とに分類されます。
間欠泉の周期性をもった湧出現象が起こるしくみは、「空洞説」や「垂直管説」などによって説明されています。
空洞説による間欠泉の説明
間欠泉の地下には地下水がたまる空洞があり、周辺(または地下深く)からの熱によって空洞内の地下水が温められます。地下水の温度が上昇するとやがて沸騰し、水蒸気の圧力が高くなって地上の噴気孔より熱水や水蒸気が激しく噴出します。噴出後は空洞内の地下水がなくなり圧力が低下します。しばらくしてまた地下水がたまり、温められて噴出します。このようなサイクルを繰り返すために、一定の周期による噴出現象が見られる訳です。間欠泉が熱水や水蒸気などを噴出する周期は、空洞の大きさや地下水のたまる速さ、温められる熱の量などによって、それぞれの間欠泉によって異なります。
垂直管説による間欠泉の説明
垂直管説は、間欠泉の地下は地下水のたまる垂直な管状になっていて、下の方の地下水が温められ沸騰すると管の中を上昇して地上の噴出孔から熱水や水蒸気などを噴き上げるというものです。噴出後には再び管の下の方に地下水がたまり、一定周期で噴出を繰り返します。この説は、コーヒーのサイフォンの原理で説明されます。
噴出する周期が長く大規模な間欠泉は空洞説によって、周期が短く小規模な間欠泉は垂直管説によって説明できることが多いと言われています。
稀少な「水柱を伴う」間欠泉
間欠泉の中でも、何mもの水柱ができるように吹き上げるものは珍しく、全国的にも数えるほどしかありません。さらに天然の間欠泉となると、熱海の「大湯間欠泉」や、国の特別天然記念物に指定されている宮城県鬼首の「雌釜・雄釜間欠泉」くらいでしょうか。その他の活動中の主な間欠泉は、温泉を掘削したら「間欠泉として湧き出した」もので、人工的な開発に由来する自然現象の間欠泉と言えるでしょう。
熱海の大湯間欠泉は既に大正14年頃から枯渇しており、現在は「間欠泉跡」のモニュメントとして整備されているにすぎません。ボタンを押すと、人工的に噴き出すように作られています。
何と、国指定特別天然記念物が消失していた!!
特別天然記念物の「雌釜・雄釜間欠泉」は、45年以上前から活動を停止していることが報告されていましたが、2022年に筆者が行った調査により、「間欠泉が停止している」どころか、土砂に覆われ、その上部に植物が繁茂し、間欠泉は完全に消失していることが明らかになりました。「現役の特別天然記念物が」ないんです!くどいようですが、特別天然記念物と言えば、人文系の資料なら国宝級に相当するものです。
全国の主な間欠泉を一覧表にまとめてみました
「間欠泉」は、温泉現象の中でもとりわけ不安定で、消長が激しい自然です。将来的に見た時、今のままずっと活動が続くのかどうか、大きな不安が残ります。
例えば島根県木部谷間欠泉場合、現在、最も安定的な活動を継続し、未来へその価値を引きつぐことが託されている貴重な間欠泉だと思うのですが、個人所有のため保護や活用に向けての施策には限界があります(かなり努力をして管理・公開をしてくださっているのですが)。ここで今一度、行政にも改めてその重要性を認識していただき、将来への展望を切り開いてほしいと切に願うところです。