温泉スケールを逆手に取って生まれた「温泉細工」
温泉地に行ってお土産を探すのも楽しみの一つです。特にその土地ならではのお土産に出会えればうれしくなります。
上の写真は、またまた下呂発温泉博物館に展示されている「温泉細工」などと呼ばれる温泉地オリジナルのお土産です。
一番手前は北海道の二股ラジウム温泉の温泉細工です。オロナミンCなどの空き瓶(廃棄物)に温泉水を振りかけ続けて温泉成分(炭酸カルシウム)を付着させてできたものです。まるで焼き物のようです。1本500円でお土産として売られていました。空き瓶は「捨てればただのゴミ」です。ゴミに、しかも温泉施設で嫌われ者の温泉スケール(石灰華)を沈着させ、温泉ならではの土産物を生み出すとは、よく考えたものです。
その奥の丸っこい一輪ざしのような物は、大分県長湯温泉で売られていたものです。素焼きの器に、これもまた炭酸カルシウムが豊富でわずかに鉄分が含まれた温泉水を振りかけて作られた味わいのある温泉細工です。高級焼き物のような味わい深い趣がありますね。
さらにその奥のよくわからない形をした茶色い物体は、チェコのカルロビバリ温泉のお土産として売られていた温泉細工です。バラの一輪挿しのようにつくられた紙製品(ペーパーフラワー)に、これもまた温泉水を振りかけて炭酸カルシウムをコーティングして作られたもので、前出の二股ラジウム温泉のものと同じ作り方です。
温泉ではないけれど石灰華にコーティングされたもの
高知県香美市にある鍾乳洞「龍河洞」内からは弥生時代の遺跡が見つかっており、弥生式土器も見つかっています。鍾乳洞内に放置され続けた弥生土器は、鍾乳石類をつくるもととなる「炭酸カルシウム」をたくさん含んだ水が降りかかり続けることにより、写真のように石灰華でコーティングされた壺になり、龍河洞のシンボルとしてよく知られるところとなりました。
炭酸カルシウムにコーティングされると、不思議な魅力が生まれるようです。