温泉博物館 名誉館長の 温泉ブログ

  温泉の科学や温泉現象について、わかりやすく解説します

温泉の泉質の科学

誤解される泉質②「単純温泉」

「単純」という言葉のイメージ 「おまえは本当に単純だ」と言われると、なんとなく情けない気分になります。落語に登場する、ちょっとお馬鹿でまぬけな「与太郎」みたいな‥‥。 念のため、「単純」という言葉を広辞苑第五版で引いてみました。 ➀ 単一で他の要…

誤解される泉質「硫酸塩泉」

泉質名を見たり聞いたりして、その本質を正しく理解してもらえればよいのですが、どうもそうではない現状があるようです。 少し古い話になりますが、筆者は、2004年に「温泉はどのように理解されているか」というアンケート調査を行い、その結果をまとめまし…

温泉にメントスを入れると

小学生が実験をしました コーラにメントスを入れると、コーラに包まれた泡が噴き出すという実験は有名ですね。 コーラにメントスを入れた時の様子 炭酸水や炭酸飲料の中には二酸化炭素(炭酸ガス)が、「CO2 」という分子の状態で水の分子の隙間に入り込んで…

カテキンが多いお茶はどれかな?

小学生が実験してみました 何年か前に「ヘルシア緑茶」がブームになった頃、お茶の中に「カテキン」が何mg含まれているかというのが一つの売りになっていました。 緑茶の中にはタンニンという成分が含まれ、その大部分がカテキンからなっています。すなわち…

いわゆる「温泉独特のにおい」は硫化水素臭

温泉のにおいの正体 温泉街に到着したとたん、温泉独特の匂いがして「ああ、温泉地に来たぞ!」という気分になります。私にとっては、何にも勝る歓迎のメッセージのような気がします。 噴気地帯の火山ガスにより「温泉のにおい」が立ち込める雲仙温泉 雲仙温…

温泉浴槽の泡で汚れがわかる

温泉が給湯口から温泉浴槽に落下する時、同時に空気を取り込むために、水面に泡ができます。 温泉ではなく、きれいな水なら、水面にできた泡はすぐに消えます。 温泉の場合は、食塩泉は粘性が高いので泡がやや消えにくく、炭酸カルシウムを大量に析出するよ…

ニオス湖の悲劇

温泉に潜む危険 1986年8月、アフリカのカメルーン共和国での出来事です。ニオス湖という火口湖の周辺20㎞圏内に住む約1800人と家畜3500頭が突然死亡するという謎の事件が発生しました。 悲劇が起きたカメルーン共和国のニオス湖 後の調査によ…

草津温泉は美白効果があるの?

小学生が研究をしてみました 草津温泉に行くと「美白の湯」を宣伝する看板に出くわします。本当に美白になるのか、小学生が研究をしました。 草津温泉の美白効果を宣伝する看板 美白のメカニズムの一つに、「肌のメラニン色素の沈着を抑える働き」が挙げられ…

強酸性温泉の舞台裏

群馬県草津温泉「湯畑」 我が国を代表する温泉地のひとつである群馬県の草津温泉。背後にそびえる草津白根火山の恵みです。 草津白根山の火口湖「湯釜」 草津白根火山の火口には、青白く美しい温泉水を湛える火口湖「湯釜」があります。湯釜のpHは1.2程度と…