温泉博物館 名誉館長の 温泉ブログ

  温泉の科学や温泉現象について、わかりやすく解説します

2024-01-01から1年間の記事一覧

地下水脈の把握は難しいけれど‥‥

リニア工事から考える 今から2年ほど前、青森県の嶽温泉や秋田県の秋の宮温泉郷などで、湯量の減少や温度の低下がみられ、温泉地の存続にかかわるショッキングな出来事として報じられました。同様な現象で頭を抱える温泉地は少なくありませんが、その多くが…

『世界の絶景温泉』はすごい本です!

鈴木浩大著『ほぼ本邦初紹介!世界の絶景温泉』 昨年、家の近くの本屋さんで棚の目立たない所にあったものを見つけ、手に取って表紙の写真を見ただけで買うことを即決した本が、鈴木浩大さん著の『ほぼ本邦初紹介!世界の絶景温泉』です。 鈴木浩大著『ほぼ…

温泉は何故「適応症」なのか

「効能」ではなく「適応症」 「○○に効く温泉はどこですか」と尋ねられることがよくあります。尋ねてくださる方にとっては、処方されている薬ではなかなか症状が改善されないので、「温泉の力でなんとかならないだろうか」という切実な願いがあるに違いありま…

給湯口の飛沫が心配です!

温泉とレジオネラ属菌 「温泉浴槽から基準値を大幅に上回るレジオネラ属菌が検出された」といったニュースが後を絶ちません。 平成14年に起きた宮崎県の日向サンパーク温泉の事故は大変ショッキングで、記憶に新しいところです。6月の体験入浴を経て7月1日 …

温泉博物学「外国の温泉土産・入浴剤」

台湾北投温泉のお土産「湯の華」 台湾の北投(ぺいとう)温泉には「地熱谷」と呼ばれる温泉の自然湧出地帯があります。沼のような底から高温の酸性硫黄泉がボコボコと湧き出していて、北投温泉の泉源となっています。日本で特別天然記念物に指定されている「…

温泉博物学「温泉軟膏」

なんか効きそう!「血の池軟膏」 別府鉄輪温泉の名勝「地獄めぐり」の一つに、赤い色をした「血の池地獄」があります。池の見学場所の傍らには、「血の池軟膏」などの販売コーナーがあります。 別府地獄めぐりの一つ「血の池地獄」 「血の池軟膏」とは、血の…

日本の「各温泉地」の「温泉科学情報」をまとめて紹介する本があります!

『図説 日本の温泉 170温泉のサイエンス』 今から4年前に、『図説 日本の温泉 170温泉のサイエンス』(日本温泉科学会監修)という本が、朝倉書店から出版されました。わが国の数多くの温泉の中から、温泉科学的に重要であると思われる温泉地170を取りあげ、…

飲酒後の入浴は、かえって「酒が抜けにくい!」

飲んだ後に「ひとっ風呂浴びて酒を抜く」? 以前は、飲み屋街のような所に深夜営業のサウナがあり、酩酊に近いような人たちで賑わっていました。みんな「酔いをさますために」風呂やサウナに入っていました。 「風呂やサウナで汗をいっぱいかけば、アルコー…

紀伊半島の旅「橋杭岩」

橋杭岩 橋杭岩(はしぐいいわ)は、和歌山県串本町にある、奇岩が一列に長く並んだ景勝地で、国の天然記念物に指定されています。 和歌山県串本町の景勝地「橋杭岩」 国指定天然記念物 橋杭岩はどのようにしてできたのか 「橋杭岩」の景観がどのようにしてで…

紀伊半島の旅「那智の滝」

那智の滝 「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されてはや20年が経とうとしています。 紀伊半島を旅するのが好きで、よく出かけますが、今回の白浜への家族旅行では久々に那智の滝や、那智大社などへも寄り道(温泉以外はみんな寄り道)してきました…

パンダの温泉地「白浜温泉」

「家族旅行」という旅行 いつもほとんど一人温泉旅か、一人酒場巡り旅をしていますが、今回は家族旅行で和歌山県の白浜温泉に行きました。今までにない「温泉色の薄い」旅になりました。 白浜温泉遠景 奥の砂浜がオーストラリアから砂を運び入れている「白良…

「温泉文化」をユネスコ無形文化遺産に登録すること

少し前ですが、新聞に「温泉文化」をユネスコ無形文化遺産に登録することをめざす知事の会が発足したという記事がありました。また、日本温泉科学会においても、温泉文化の登録に関するシンポジウムが開かれたことがあります。各界で登録への機運が高まって…

「一番良かった温泉はどこですか」と聞かれますが‥‥

良かった温泉がいっぱいありすぎて いろいろな人から、「今まで行った中で一番良かった温泉はどこですか」と、本当によく聞かれます。正直なところ、温泉が好きすぎて、良かった温泉がいっぱいありすぎます。甲乙つけてランクづけることなど、私には到底無理…

誤解される泉質②「単純温泉」

「単純」という言葉のイメージ 「おまえは本当に単純だ」と言われると、なんとなく情けない気分になります。落語に登場する、ちょっとお馬鹿でまぬけな「与太郎」みたいな‥‥。 念のため、「単純」という言葉を広辞苑第五版で引いてみました。 ➀ 単一で他の要…

誤解される泉質「硫酸塩泉」

泉質名を見たり聞いたりして、その本質を正しく理解してもらえればよいのですが、どうもそうではない現状があるようです。 少し古い話になりますが、筆者は、2004年に「温泉はどのように理解されているか」というアンケート調査を行い、その結果をまとめまし…

温泉に生息する生物

温泉が大好きなのは、人間や渋温泉地獄谷の猿だけではないようです。 温泉に入る長野県渋温泉地獄谷野猿公苑のニホンザル 全国各地の温泉には「温泉発見伝説」があり、白鷺や熊、鹿や猿などの動物による発見伝説も枚挙にいとまがありません。真偽のほどはと…

伊吹山 「積雪記録世界一の山」

岐阜県と滋賀県の県境にある伊吹山は、標高1,377mの山で、深田久弥の日本百名山にも選ばれています。ヤマトタケルノミコトの伝説をはじめとした故事来歴、薬草や稀少生物、さざれ石や山の特異な形成史など、伊吹山の魅力は尽きません。 滋賀県側から見た伊吹…

温泉分析書の「電気伝導率」とはどんな単位?

電気伝導率(mS/m )とは 温泉分析書の上の方のpHなどが記載されているあたりに電気伝導率という項目が位置づけられている場合があります。 「電気伝導率」が記載された温泉分析書 電気伝導率の単位「mS/m」は、「ミリ ジーメンス マイ メートル」と読みます…

遠くの山が白く見えるのは何故

雨が降らない日が続くと、遠くの景色が白っぽく「もや」がかかったようになります。特に山の景色を見ると、遠くの山ほど白く見えます。 蔵王から見た遠くの山の景色 遠くの山ほど白っぽく見える 空気中には、水蒸気や、PM2.5、塵(ちり)、黄砂などの小さな…

温泉現象 「噴気塔」

富山県立山地獄谷には、熱水変質帯の灰色の地肌をむき出しにした噴気地帯が広範囲に広がっています。その中の「鍛冶屋地獄」と呼ばれる谷 底にある噴気地帯には、硫化水素や二酸化硫黄(亜硫酸ガス)が噴出する噴気孔が至る所に見られ、噴気孔の周りに火山ガ…

温泉博物学 「温泉細工」

温泉スケールを逆手に取って生まれた「温泉細工」 温泉地に行ってお土産を探すのも楽しみの一つです。特にその土地ならではのお土産に出会えればうれしくなります。 炭酸カルシウムでコーティングされてできた土産用「温泉細工」 上の写真は、またまた下呂発…

温泉に関わる国の天然記念物

「天然記念物」および「特別天然記念物」 わが国では、文化財保護法にもとづいて、「学術上貴重で日本の自然を記念する動物,植物、地質鉱物および天然保護区域」を天然記念物に指定しています。さらに、その中で「世界的にまたは国家的に価値が高いもの」を…

温泉現象 「泡沸泉」

沸騰した熱い温泉かと思いきや‥‥ 長崎県雲仙岳の麓の海岸沿いには、熱い源泉で知られる小浜温泉があります。源泉温度をいろいろな温泉分析書で確認してみると、何といずれも100℃前後でした。 そんな小浜温泉街の一角に「炭酸泉」という看板があり、ポケット…

温泉現象 「間欠泉」

間欠泉とは 噴泉のうち、ある一定の時間間隔をおいて湧き出す温泉現象を間欠泉と言います。間欠泉はさらに、地下の空間内の水蒸気圧によって噴出する間欠沸騰泉と、地下の空間内の炭酸ガス圧によって噴出する間欠泡沸泉とに分類されます。 木部谷間欠泉(島…

温泉現象 「噴泉」

温泉が自然に湧き出す時の「湧き出し方」にもさまざまな形態があります。熱湯と水蒸気が一緒になって噴水のように勢いよく噴出し続ける温泉現象を噴泉(ふんせん)と言います。地下に高温の水蒸気を含む熱湯が存在し、温泉の湧き出し口の穴(孔隙)が小さいと…

温泉にメントスを入れると

小学生が実験をしました コーラにメントスを入れると、コーラに包まれた泡が噴き出すという実験は有名ですね。 コーラにメントスを入れた時の様子 炭酸水や炭酸飲料の中には二酸化炭素(炭酸ガス)が、「CO2 」という分子の状態で水の分子の隙間に入り込んで…

温泉博物学 「硫黄系の液体入浴剤」

温泉と薬機法(やっきほう) 以前は「薬事法」と言っていた法律が、2014年に「薬機法」に改正されました。正確には、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と言います。 温泉は薬物ではないので効能が言えない 温泉は、薬物で…

温泉現象 温泉がつくる「地獄」「地獄谷」

「地獄」は温泉天国です 火山活動が活発な所では、岩肌がむき出しになった荒涼とした大地の至る所から火山ガスを噴き上げ、温泉がボコボコと湧き出すような風景を目にすることがあります。 雲仙「地獄」 玉川温泉「地獄」 そのような一帯は、地熱や、様々な…

温泉博物学 「こつぼ洗い器」って、何?

こつぼ洗い器 何年も前のことです。伊香保温泉の観光案内所に併設されていた「伊香保歴史資料室」というちょっとした展示スペースに、写真のような珍しいものが展示されていました。私は初めてこのような資料を見ましたが、皆さんは、これが何だかおわかりで…

温泉博物学 「飲泉カップ」

飲泉許可が下りている温泉を飲むことにより、薬を飲むのと同じような薬理効果を得られる場合があります。 飲泉は特に東ヨーロッパで古くから盛んに行われていました。 飲泉の際に使われるのが、専用の「飲泉カップ」です。 下呂発温泉博物館に展示されている…