温泉博物館 名誉館長の 温泉ブログ

  温泉の科学や温泉現象について、わかりやすく解説します

飲酒後の入浴は、かえって「酒が抜けにくい!」

飲んだ後に「ひとっ風呂浴びて酒を抜く」?

以前は、飲み屋街のような所に深夜営業のサウナがあり、酩酊に近いような人たちで賑わっていました。みんな「酔いをさますために」風呂やサウナに入っていました。

「風呂やサウナで汗をいっぱいかけば、アルコールも抜けていく」と思っていました。

飲酒後の入浴に関する研究

「飲酒後の入浴が体にどのような影響を与えるのか」といった研究は古くから行われています。その中で、特に「飲酒後の入浴によってアルコールが代謝(分解)しやすくなるのか」という内容を扱った論文を見つけました。

 

日本温泉気候学会雑誌第25巻第3号(1961年発行)より引用

残念ながら、飲酒後の入浴は「かえって酔いがさめるのが遅くなる(アルコールが抜けにくくなる)」という結論でした。特に、熱いお湯への入浴において顕著だということです。

飲酒後のサウナについては、アルコールの利尿作用で血管内が脱水状態になっているところへ、大量の汗をかくことでさらに脱水が進んで血液がドロドロになるため、脳梗塞心筋梗塞のリスクが大きくなります。

ふらふら徘徊した後は、いさぎよく寝る。入浴は危険ですから。

ちなみに、二日酔いで気持ち悪くなったり頭が痛くなったりするのは、アルコールの分解が不十分で、アセトアルデヒドという物質が残ってしまうことによるものだそうです。

 

飲酒後は、「入浴」ではなく、アルコールを分解させるために「水分をたくさん摂る」ことが肝心です‥‥と、本日もまた二日酔いで苦しい自分に言い聞かせています。