温泉博物館 名誉館長の 温泉ブログ

  温泉の科学や温泉現象について、わかりやすく解説します

『世界の絶景温泉』はすごい本です!

鈴木浩大著『ほぼ本邦初紹介!世界の絶景温泉』

昨年、家の近くの本屋さんで棚の目立たない所にあったものを見つけ、手に取って表紙の写真を見ただけで買うことを即決した本が、鈴木浩大さん著の『ほぼ本邦初紹介!世界の絶景温泉』です。

鈴木浩大著『ほぼ本邦初紹介!世界の絶景温泉』

ページをめくるたびに、世界中の名前も聞いたことないし写真も観たこともないような温泉が次々と現れます。私は、温泉沈殿物の形態や温泉の湧出状態、温泉の色やバイオマットの存在など、入浴のための温泉施設というよりは温泉現象そのものに興味があるのですが、本書に掲載されているオールカラーの大きな写真の数々は、大部分がそのような温泉現象そのものに焦点を当てて撮られていて、温泉現象に関する多くの貴重な情報を提供してくれています。私にとってはまさに学術報告書です。著者の鈴木さんは、温泉の原風景における、温泉沈殿物(析出物)などのさまざまな温泉現象の重要性を十分に理解していらっしゃるからこそ、写真の中にはつねにそういった要素が刻まれています。文字で表された学術論文以上に情報がストレートに伝わってきます。

 

ページをめくるのがドキドキします。「次はどんな温泉のどんな温泉現象が出てくるのか」ということです。オールカラーで写真をできる限り大きく掲載してあるため、どの写真もドキドキを裏切りません。

 

『世界の絶景温泉』というタイトルの「絶景」とは、「温泉現象が捉えられた絶景」なのです。いい本を出版してくださったと、大変感謝しています。

 

紙面上、本書に取り上げられた温泉地や掲載された写真はほんの一部で、鈴木さんのバックヤードには莫大な量の「貴重な温泉情報」が眠っていることでしょう。苦労して得られたたくさんの成果を無駄にしないためにも、続編が登場することを願ってやみません。

 

なお、本書については、ライターで翻訳家の田淵実穂さんが『温泉地域研究』第41号に書評を書かれ、そのすばらしさを伝えていらっしゃいます。ぜひ御一読していただければと思います。