温泉が給湯口から温泉浴槽に落下する時、同時に空気を取り込むために、水面に泡ができます。
温泉ではなく、きれいな水なら、水面にできた泡はすぐに消えます。
温泉の場合は、食塩泉は粘性が高いので泡がやや消えにくく、炭酸カルシウムを大量に析出するような温泉でも消えにくい場合がありますが、一般的には、温泉水に有機物が多く含まれるほど、水面にできた泡は消えにくくなります。
いわゆる「黒湯」や、コーラ色に代表されるような「モール泉」と呼ばれるような泉質の温泉の場合、もともと温泉の中にフミン酸などの天然の有機物が含まれていますので粘性が高く、水面にできた泡は消えにくくなります。
温泉に人が入浴すると、温泉の中に「垢や皮脂」といった有機物をたくさん溶かし込みます。
結論を言いますと、「濃い食塩泉」や、「黒湯やモール泉」以外の温泉で「水面にできた泡が消えにくい」状況であるならば、その浴槽のお湯は垢や皮脂などでかなり汚れている可能性があります。特にジャグジー(ジェットバス)のような浴槽ではわかりやすいです。
循環浴槽では、ろ過機で湯をろ過しても、皮脂などは十分にろ過されないため、浴槽内に蓄積される傾向にあります。そうなると当然、水面にできる泡は消えにくくなります。
昔から「一番風呂はかたいので年寄りに入らせるな」という格言がありますが、「一番風呂はかたい」とは、「誰も入っていないので新鮮で垢や皮脂が溶けていない」湯のことを指します。垢や皮脂が溶けると湯がまろやかになりますが、反対に新鮮できれいな湯というのはまろやかでないため「刺激が強いよ」と教えてくれているようです。
泡に注目です。温泉は「バブルが早くはじける」ほうがいいのです。