温泉博物館 名誉館長の 温泉ブログ

  温泉の科学や温泉現象について、わかりやすく解説します

2024-01-13から1日間の記事一覧

いわゆる「黒湯」と言われる温泉について

「黒湯」はなぜ黒いのか 東京湾周辺の地域では、昔から「黒湯」と呼ばれる透明感のある黒褐色~褐色(琥珀色)を呈する温泉が湧き出しています。 在りし日の「麻布十番温泉」の黒湯 北海道の十勝川温泉では、このような褐色の温泉を「全国的にも珍しいモール…

旅館の夕食に出される「紙鍋」が燃えないのは何故?

夕食の紙鍋が燃えない 先日泊まった田沢温泉の旅館の夕食に、写真のような「紙鍋」が出されました。宴会などでもよく見かけます。なぜ、紙の鍋を燃やしても燃えないのでしょうか。 旅館の夕食で出される「紙鍋」 紙鍋の中は、必ず何らかの汁(水)で満たされ…

温泉で見られる「油膜のようなもの」の正体

それは油膜ではありません 勤務している職場のまわりの溝の至るところに、油膜のようなものができていました。 水路にみられる「油膜状バイオフィルム」 これは、温泉や温泉の排水溝などの水面でもよく見かける「油膜状バイオフィルム」と呼ばれる、「鉄バク…

ニオス湖の悲劇

温泉に潜む危険 1986年8月、アフリカのカメルーン共和国での出来事です。ニオス湖という火口湖の周辺20㎞圏内に住む約1800人と家畜3500頭が突然死亡するという謎の事件が発生しました。 悲劇が起きたカメルーン共和国のニオス湖 後の調査によ…

草津温泉は美白効果があるの?

小学生が研究をしてみました 草津温泉に行くと「美白の湯」を宣伝する看板に出くわします。本当に美白になるのか、小学生が研究をしました。 草津温泉の美白効果を宣伝する看板 美白のメカニズムの一つに、「肌のメラニン色素の沈着を抑える働き」が挙げられ…

忘れ去られた記号の意味

学問が継承されないとこうなる 地質調査や山中の温泉調査等で不可欠なのは地形図と方位磁石(クリノメーターなど)です。ここでやっかいなことは、地形図の真北(しんぽく)と方位磁針が指す北(磁北)にずれがあることです。 日本の偏角(国土地理院デジタルコン…

車に乗ってやってくる温泉もあるよ!

「ローリー温泉」がいっぱい ローリー温泉とは、言うまでもなくタンクローリーで運ばれてくる温泉のことで、そういった温泉施設をそのように呼ぶこともあります。 トミカのミニカー「温泉タンクローリー」 写真は、トミーのミニカー(トミカ)シリーズの「温泉…

平野部で温泉が湧くしくみを考える

非火山性の温泉 最近次々と誕生する新しい温泉施設の多くは、火山などと全く無縁の山間部や平野部などにあります。便利な都市の中心部にもこのような温泉が目立つようになりました。このような温泉では、なぜ、井戸水と違った比較的高温の温泉水が得られるの…

温泉が湧くしくみを考える

火山性の温泉 火山地帯において「温泉が湧き出す」というのはイメージしやすいですね。実際に「地獄」と呼ばれるような観光地へ行けば、噴気などとともに熱い温泉が自然に湧き出しているのを目の当たりにすることができます。 火山の分布と火山フロント(防…