温泉博物館 名誉館長の 温泉ブログ

  温泉の科学や温泉現象について、わかりやすく解説します

2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

温泉で見られる「油膜のようなもの」の正体

それは油膜ではありません 勤務している職場のまわりの溝の至るところに、油膜のようなものができていました。 水路にみられる「油膜状バイオフィルム」 これは、温泉や温泉の排水溝などの水面でもよく見かける「油膜状バイオフィルム」と呼ばれる、「鉄バク…

ニオス湖の悲劇

温泉に潜む危険 1986年8月、アフリカのカメルーン共和国での出来事です。ニオス湖という火口湖の周辺20㎞圏内に住む約1800人と家畜3500頭が突然死亡するという謎の事件が発生しました。 悲劇が起きたカメルーン共和国のニオス湖 後の調査によ…

草津温泉は美白効果があるの?

小学生が研究をしてみました 草津温泉に行くと「美白の湯」を宣伝する看板に出くわします。本当に美白になるのか、小学生が研究をしました。 草津温泉の美白効果を宣伝する看板 美白のメカニズムの一つに、「肌のメラニン色素の沈着を抑える働き」が挙げられ…

忘れ去られた記号の意味

学問が継承されないとこうなる 地質調査や山中の温泉調査等で不可欠なのは地形図と方位磁石(クリノメーターなど)です。ここでやっかいなことは、地形図の真北(しんぽく)と方位磁針が指す北(磁北)にずれがあることです。 日本の偏角(国土地理院デジタルコン…

車に乗ってやってくる温泉もあるよ!

「ローリー温泉」がいっぱい ローリー温泉とは、言うまでもなくタンクローリーで運ばれてくる温泉のことで、そういった温泉施設をそのように呼ぶこともあります。 トミカのミニカー「温泉タンクローリー」 写真は、トミーのミニカー(トミカ)シリーズの「温泉…

平野部で温泉が湧くしくみを考える

非火山性の温泉 最近次々と誕生する新しい温泉施設の多くは、火山などと全く無縁の山間部や平野部などにあります。便利な都市の中心部にもこのような温泉が目立つようになりました。このような温泉では、なぜ、井戸水と違った比較的高温の温泉水が得られるの…

温泉が湧くしくみを考える

火山性の温泉 火山地帯において「温泉が湧き出す」というのはイメージしやすいですね。実際に「地獄」と呼ばれるような観光地へ行けば、噴気などとともに熱い温泉が自然に湧き出しているのを目の当たりにすることができます。 火山の分布と火山フロント(防…

湯治場の舞台裏

草津温泉とハンセン病療養 草津温泉湯畑泉源 草津温泉は古くから湯治場として知られていました。その効能を求めて、全国各地から身体を患った人々が訪れていました。特に皮膚病に効能が高いと伝えられた草津温泉には、明治時代になるとハンセン病を患った湯…

強酸性温泉の舞台裏

群馬県草津温泉「湯畑」 我が国を代表する温泉地のひとつである群馬県の草津温泉。背後にそびえる草津白根火山の恵みです。 草津白根山の火口湖「湯釜」 草津白根火山の火口には、青白く美しい温泉水を湛える火口湖「湯釜」があります。湯釜のpHは1.2程度と…

温泉を愛して、ブログを始めました

秋田県玉川温泉「大噴泉源」 日本は「温泉大国」などと言われますが、一方で「温泉好きの温泉知らず」といった温泉大国の温泉利用者を揶揄するような言葉も聞かれます。 大深度掘削による新しい温泉が雨後の筍のごとく次々と誕生し、温泉がどの地域において…