宗教も神社仏閣にも全く興味のない罰当たりな私ですが、空海(弘法大師)にはあこがれます。
「空海」は僧としての名前で、醍醐天皇から贈られた号が「弘法大師」。大師の号を持つ高僧は24人いるそうですが、今の世の中で「お大師」とか「弘法様」と呼ばれているのは弘法大師のことです。
全国の多くの温泉地には「温泉発見伝説」があります。鷺や鹿などの動物だけではなく、行基や役行者、弘法大師などのスーパースターのお導きで温泉が湧き出したというものです。動物はともかく、後者の場合はすべて、温泉地に箔をつけるために作られたフィクションです。
温泉発見伝説の中で一番多く登場するのが弘法大師です。修善寺温泉や龍神温泉をはじめ、確認できるだけで24ケ所はありました。庶民の弘法大師信仰が全国に行きわたっていたことを示しているものと思われます。
弘法大師は遣唐使で唐から宗教以外にも水関係の土木技術や科学、鉱物学なども学んでおり、宗教人であるとともに最先端の科学技術者でもあっようです。満濃池の修復工事の指導でもよく知られています。
水工学や地質学に長けている偉大なる大師です。温泉と地学に関わる私としては、ついつい尊敬してしまいます。そんな大使と温泉をつなげて「温泉発見伝説」を勝手につくりあげた温泉地の人々もまた、ある意味では素晴らしいと思います。
という訳で、尊敬する師が開いた高野山金剛峰寺へ行かない訳にはいきませんでした。
高野山には「般若湯」という酒がありました。「般若湯」とは、もともと僧侶たちの隠語で「酒」の意。少量ならこっそりと許されていたそうです。なんといい話なのでしょう!
私もこれから「般若湯」と言うことにしました。酒でなくて湯なのです!