温泉博物館 名誉館長の 温泉ブログ

  温泉の科学や温泉現象について、わかりやすく解説します

山の中の温泉地でタイムスリップ

奈良県 洞川温泉

奈良県天川村の洞川(どろがわ)温泉。深い山の中で時代に取り残されたかのように、独特のスタイルの木造和風旅館が街道沿いに軒を並べています。まさに圧巻です。

洞川の旅館街は、大峰山山上ヶ岳)への修験者や参詣者の宿場として栄えてきた所で、今でもそういった雰囲気が漂っています。

修験者の宿場町として栄えてきた温泉街

明りが灯ると温泉街がひと際映える

木造旅館が軒を並べる温泉街

修験者が利用し続けた独特のつくりの木造旅館

温泉街で特産品の吉野葛を売る店

温泉街のあちこちで売られている胃腸薬「陀羅尼助丸」

一方、温泉は新しく掘削して得たもので、ごく最近のものです。街の風情が素晴らしすぎて、「温泉はちょっとどこかに忘れ去られている」感がありますが、素晴らしい温泉地として新たな発展を遂げたことは非常に価値のあることだと思います。

旅館街のいたるところで「陀羅尼助(だらにすけ)」という文字を見かけます。オウバクなどからなる御嶽百草丸のような胃腸薬で、修験者が傷薬などとして使っていたのが起源だとも言われているそうです。万能薬っぽくて、「二日酔いにならないように」と、ウコンの力のように服用している人もいると聞き、即決で私も購入しました。

洞川温泉を訪れて以来、「陀羅尼助」というインパクトのある不思議な言葉が頭の中から離れず、私の「流行語大賞」となりました。