温泉博物館 名誉館長の 温泉ブログ

  温泉の科学や温泉現象について、わかりやすく解説します

温泉がつくる美 エメラルドグリーンの湖

川の深い所は青緑色に見える (長良川)

川の水の深い所は緑色に見えます。これは太陽光のうち、赤色の波長の光が水の分子に吸収される性質があるため、残された青緑系の波長の光が川底で反射をしたり水中の微粒子によって散乱をしたりして私たちの目に飛び込んで来るために緑色に見えます。特に深い所では緑色が重なってより濃く見えます。

美しいエメラルドグリーンに見える五色沼

美しいエメラルドグリーンの湖の原因は様々です。上の写真は、私が大好きな福島県五色沼です。典型的な美しいエメラルドグリーンの湖です。

千葉茂氏著『ふくしまの水を調べたら』によると、湖の底から湧き出す温泉によって、水中にケイ酸アルミニウムの微粒子が生成されるとのことです。

すなわち、太陽光のうち波長の小さい青色系の光だけがその小さな粒子によって散乱する(レイリー散乱)ため青く見え、粒子がさらに大きく成長する性質があるため、大きくなった粒子にはすべての波長の光が散乱して白く見える(ミー散乱)ため、青い光と白い光が混在してエメラルドグリーンというかターコイズブルーのような美しい色に見えるようです。

温泉の粋な計らいです。

 

雪渓や氷河の移動によって大地の岩石が細かい粉塵のように削られ、それが湖の中に流れ込むと、岩石由来の細かいコロイド粒子によって同じようにレイリー散乱やミー散乱を起こしてエメラルドグリーンの美しい湖になることもあります。岐阜県白川村大白川の白水湖などもそういった理由だと思います。