「青い温泉」も「青い空」も同じメカニズム
子どもの頃はずーと、空が青いのは宇宙の色が見えているからだと思っていました。
太陽の光は「波長の違う様々な色の光」からなり、そのために、光が水滴やプリズムなどを通過して分解されると「虹色」となって現れます。
虹色を構成する様々な波長の光が集まると白色になるので、太陽をじかに見ると白色に見えます。
太陽の光が空気中の窒素や酸素の分子に出くわした時、赤色などの長い波長の光は何事もなく真っすぐ通過していきますが、波長の短い青色系の光は分子にぶつかってしまい、四方八方へ散乱して散っていきます。このような短い波長の光が引き起こす散乱のことをレイリー散乱といいます。
青い光はレイリー散乱を繰り返し、あらゆる方向に向かうため、太陽の位置に関係なく空全体が青く見えます。というか、青い光が空じゅうから目に飛び込んできます。
同じ空でも地平線に近いほど青色が薄くなり、白っぽく見えます。下の写真でもよくわかります。地平線付近の光は空気の層を長い距離通過するので、青色の光がより多くの分子によって散乱し、弱くなって目に飛び込んでくるため薄く見えます。
別府の鉄輪(かんなわ)温泉などでは「青色になる温泉」が知られています。これらの多くはメタ珪酸(シリカコロイド)成分を多く含む温泉で、シリカコロイド粒子によって太陽光の青色の光がレイリー散乱を起こすことにより青色に見えます。
シリカコロイド粒子は、時間と共に重合反応を起こして大きく成長するため、青色の波長の光だけでなく、すべての波長の光が散乱するようになり(ミー散乱)、すべての光が私たちの目に飛び込んで来るため、温泉が白く(乳白色に)見えるようになります。
「空の青さ」も「温泉の青さ」も、キーワードは「レイリー散乱」なのです。レイリー散乱バンザーイ